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July 08 旅立ち ピレネー山脈はスペインとフランスの国境沿いにのびる標高3000m直線距離400kmの山脈です。
そこに暮らす人々の昔ながらの生活、自然、生き物、出会いをテーマにカルネ ド ヴォヤージュを製作しています。カルネ ド ヴォヤージュとは旅の中から生まれる世界に一つしかない大切な旅ノート。
僕は山をテーマにアラスカの原野、厳冬のカナディアン・ロッキー、初夏のスイスアルプス、ヒル地獄のマレーシア熱帯ジャングルを踏破して来ました。そんな旅の様子を遠く離れた所から皆様のお茶の間にお届けする事ができて嬉しいかぎりです。
今回の旅も面白い出会いに夢膨らませ最後の荷造りに汗をかく浜風編集チョー。
しばらくの間ブログは更新されませんがその分「カルネ ド ピレネー 50ぺージ」をたっぷりお楽しみください。 時間のある人は文章も読んでくださいね。
次のステップはラララそよ風通信のアニメーション化です。
それでは行ってきまーす!
ラララそよ風通信編集部 July 07 六甲ヲロシのわーるどカップな夜まーいど~スポーツ担当六甲ヲロシでーす。 ポルトガルVSフランス戦を観戦しにポルトガルバーへ行ってきました。近所にあるポルトガルっぽいお店だったので応援するにはもってこい。店内にはサッカー好きと思われる若者達がいい席を陣取っていた。試合も始まり幾つかのポルトガル側のシュートが外れて「うーん残念とか、あちゃー」とか言っていると冷たい視線を背中に感じる・・・。 なんでや?
冷静になり他の人のリアクションを横目でジロリ。するとフランスのシュートが外れると「ウォーとかおおおおおぉ」と雄たけびを上げている。ひょっとして全員フランス応援してるやん・・・。
じっくり店内を見回す。なんとそこはスペイン人バーだったのだ。
「やべー」
それに気づくとなんとも居心地の悪い空間と変貌した。店の奥ではサッカーに興味の無いおばあちゃん達はがイコロゲームを黙々とやっていた。前半終了後そそくさと店を出たのは言うまでも無い。
みせの人も「あいよっ」とつり銭を渡した。 後半戦は間違いなくポルトガル人のバーへ。道路に大きめのTVが置かれちょっとしたミニシアター状態。日本人はかなり浮いているけど、おんなじチーム応援してるって事でOK。 試合はご存知の通りポルトガルは負けてしまい、がっかりムードが漂うバーポルトガル。
大通りに出ると熱狂的なサッカーファンがハコ乗り状態でクラクション「ぶーぶー」と鳴らし、花火でフランスの勝利を祝っているというか狂ってるな。こりゃ警察も大変だ。それをわざわざ見にくる人々。僕もそーやけど。 この騒ぎが夜通し続くのかと思ってたら、ポルトガルの竜神の怒りに触れたのかバケツをひっくり返したような大粒の雨がザァーと降り出し野次馬さんは一目散で家に帰っていった。オーディエンスの居ないはハコ乗りはただの暴走族。フランス勝利の熱気は雨によって一瞬にして鎮火されたのであった。 おしまい。 July 05 アヌシーからの風 9 「日本語特訓」マリールイーズはいつに無くうれしそうだった。
「今日私の彼、セバスチャンがくるの。」また目をキラキラさせた。
セバスチャンはフォリマージュのアニメーター。フォリマージュと言えば無く子もだまるヨーロッパのアニメーションの代名詞的プロダクションで、数々の短編アニメーションをフェスティバルに送り込み次々と受賞をものにしている。今回のアヌシーでも特別プログラムが組まれているほどの人気だ。
以前いくつかフォリマージュ作品を見たが「動いている絵本」というのが僕の第一印象。筆あとの残る淡い水彩画タッチの絵が見事に動いていく。
セバスチャン登場!
いきないり「コンニチワ!」アジア風の黄色い長袖シャツに、日焼けしたひげ面。プロバンスからきたというよりインド帰りと思うくらいのカジュアルな感じ。
それに今コンニチワって言ったような気がするが・・・。
いきなりセバスチャンは言った。
「日本語おしえてください。」
「えっ・・なんで?」
話を聞くと近々日本のジブリからお客さんが来るらしく。それまでに日本の事を勉強しておこうと言うのである。僕は偉いと思った。フランス人が日本の習慣に自分を合わせようとしている所がである。
「ほんじゃまずは、ステップ1!名刺交換。」
「サバ?」
「ウイ!」
「ただ渡せばいいってもんじゃないよ。これには秘訣があってお辞儀をするときの姿勢、名刺を渡すときの絶妙のタイミングと方法、その時に口にすべき言葉など、全ては古来の儀式に起源を発する一種の「型」をもってるんだ。
日本ではまずこの「型」を知っているかどうかが大切で、それでその人となりを判断するバロメーターになってるんだ。この「型」を学ぶプロセスは小学校に入って漢字を勉強する時、筆順を徹底的に習得してその通りに書かないとテストで良い点はもらえない。そういう風に「型」をマスターした物は先輩そして師として尊敬され、学ぶ側は師の指導に従って黙々とその「型」を学ぶんだ。これが日本人の精神風土の土台の一つであーる。日本人とビジネスする時はこの「型」の習得が第一歩であーる。
「分ったかっ」
「はいっ!」
「よーしっ!まずは名刺の差出し方からだ。両手で名刺の両角を持ち、相手に読める向きにして渡す。この時に15度程度の軽いお辞儀をする。このお辞儀が深すぎても早すぎてもダメなんだ、軽く15度。」
「じゃーやってみよう」
「ダメダメ!首だけじゃなーい!腰からだ!腰から背筋をピーンと伸ばーしそのまま前に。この時視線は落としたままだ。間違っても上目遣いでみるんじゃないよ。」
「まぁいいだろう。」
「よーしステップ2!受け取った名刺は良く見る。このとき仮に字が読めなくても見る。心眼でよみとるんだ!わかったか!」
「いいぞ いいぞ その調子 その調子!」
映画「ベスト・キッド」の師範ミヤギになりつつある浜風編集チョー。
「よーしステップ3!頂いた名刺はすぐにしまわずテーブルがある時は右横の置いて何時でも見えるようにする。立っている時はポケットにや財布に入れず名刺入れに入れる事。間違っても名刺の裏をメモ代わりにするんじゃないよ。」
「よしよしいい感じ いい感じ。」
そんな僕達の姿をマリールイーズは不思議そうに眺めていた。やはり日本はまだまだ極東の神秘の国なのである。
セバスチャン健闘を祈る!
PS 長い海外生活で日本のしきたりを忘れつつある僕。海外で日本人の方にお会いしたときに
いきなり握手を求めてしまう時がある。自然に体がそう動いちゃうのである。アヌシーで出会った方々、もし失礼な事してたらごめんなさい。この場をかりて。
アヌシーからの風 8 「アニメとアニメーションの違い」 アヌシー映画祭は5つぐらいの映画館で行われている。
参加者にはパスとアヌシーオリジナルバックがもれなくもらえる。
白地にオレンジのショルダーバックは汚れが目立ちやすいが中々おしゃれだ。
メインの映画館には当日券を待つ人の行列が出来ていた。ついでにトイレも行列だ。
なぜ突然思いついたようにこんな事を書いているのかと言うと、海底2万里オヤジやこだまカメラマンに気をとられてアヌシー映画祭の事を何も書いてない事に気づいたからである。
この調子で行くとオモロイ人特集で終わりそうなので、今回はまじめにアヌシーアニメーションフェスティバルを綴ろうと思ったのである。
その前にアニメーションの語源を説明しておこう。
アニメーションの語源はラテン語のanime 「生命のある、活気のある」が元になっている。
動物のanimalもココから来ている。
日本で「ぼくぅーアニメ好きですぅー。」と言うと この人・・・ひょっとしてオ・タ・ク?と取られがちだが
この国ではアニメーションはれっきとした芸術表現の手段なのであります。お宅っぽい日本のセルアニメをアニメと呼び、アヌシーで上映されているような短編作品はアニメーションと呼ばれている。日本ではアートアニメと呼ばれているみたいだけどココではシンプルにアニメーションで良い。
短編作品(クーメタージュ)は小さなプロダクションや個人で制作され作家の表現が100パーセント反映される。お富もそうだけど芸術活動に補助金を国が出しているケースが多く、スポンサー抜きに制作できるのもメッセージや芸術性が高まる理由のひとつだ。観客は美術館で画家のメッセージを探るようにアニメーションを見るのが特徴だ。
だから来ている人達も東映漫画祭りの親子連れとはちがうし、美少女アニメのお宅たちでもない、一口にアニメと言っても色々あるのだ。(ゲームお宅ビンセントのようにアニメーションと日本アニメの両方を好きな人が現在急増中。この人たちは日本語も勉強していたりする。そしてやたら日本のアニメに詳しく大学の卒論でアニメの事を書いていたりする。)
なんでアヌシーがあにめーしょんのメッカとなったのか?これも付け加えておこう。
カンヌ映画祭のアニメーション部門が独立してアヌシーアニメーション・フェスティバルになりました。
だからここで受賞した作品はアカデミーにノミネートされたりする。MIFAと呼ばれている特別会場では映画配給会社や、そのほかの関連会社がブースを出しアニメーターと商談したり、新しいアニメーションソフトのデモンストレーションをしたりしている。僕にはあまり関係の無いところだったの早々に引き上げた。
上映されている作品は僕を睡魔へ誘い込むことなく、常に感動と驚き、意味不明を与えている。見るだけでも価値のあるそんなアヌシーアニメーションフェスティバルであった。
目の前の芝生には巨大野外スクリーンが設置され夜な夜なライブと映画上映をしているみたいだけど結局行かなかった。昼間にたくさん映画を見たのでかなり疲労していた。
夜は宿で「子供アニメ」の面々とワインを飲んでだべって12時頃には寝た。
「さて明日はどんな出会いがあるかなワクワク。」
アヌシー9に続く
July 02 アヌシーからの風 7 「こだまカメラマン」
僕とウィリアムはインタビューの後カメラマンにポートレイト撮影を頼まれた。 出演者全員の写真を今の間に撮っておこうというものだ。 カメラマンは僕らを外へ誘い出すと無言で「こっち こっち」と手招きした。その手招きに導かれどんどん細い路地に入っていった。 「 ほれ こっち こっち・・・。」なんか木霊みたいなカメラマンだ。 レストランの裏口に続く細い裏路地を抜けコンクリート階段をトコトコと上がって行くこだまカメラマン。 「 ほれ こっち こっち・・・」 誘い出されたところは地上4階の人気のない雑居ビルの踊り場だった。 さびた手すり。 剥がれたコンクリートの壁。 壊れた冷蔵庫。
パンチラ写真でも撮られそうな雰囲気だ・・・。 恐らくこだまカメラマンは街中を歩き回り光の加減、人の少なさ、単色の壁面を計算して、この場所を見つけたのだと思うのだが女性一人では結構怖いかも。
撮影は無言でパシャ パシャ行われた。 試しにウィリアムの横顔を僕のファインピックスで撮ってみる。 さすがだ! 光量がバッチリでプロのような写りになった。 元の会場に戻ってみると丁度サムライ監督の出番だった。 インタビューが無事終了し例の木霊カメラマンが手招きする。 「ほれ こっち こっち・・・・。」 僕もサムライ監督の裏路地撮影会に同行した。 撮影終了後サムライ監督は言った。 「パンツ撮られそうな雰囲気だったなぁー」 そう思うのはやっぱり僕だけでは無かったのだ。
アヌシー8へ続く アヌシーからの風 6 「インタビュー」インタビュー会場には50人ほど人がいた。
目の前には昨夜のマシンガン記者、右手には仏英の通訳者、オーディエンスはヘッドフォンで同時通訳が聞ける仕組み。
さて一発目の質問はウィリアムに向けられたものだった。
「どうしてベルギーで日本の作品を作ったのですか?」
そこでウィリアム
「芥川の羅生門はアキラ・クロサワが映画化してヨーロッパで知られています。私は羅生門を見て
芥川に興味を持ちました。そして短編小説の中にお富を見つけたのです。」
「まずパペットアニメを作るときには重要視されるのは、セットやキャラクター数の制作が可能かどうかです。そして著作権が切れていることも僕達にとって確認しておかなければならない事でした。
その条件を満たしたのがお富でした。」
インタビュアー
「えっ!でも日本の著作権は作者の死後100年ですよ。」
「・・・・・・・・。」青ざめるウィリアム。
「冗談です。」とインタビュアーはニヤニヤした。
悪い冗談いうなこの人・・・・。
次の質問。
「ところで日本とヨーロッパの制作現場ではどういう違いがありますか?」
やっぱり来たか・・・。
よくされる質問の一つに日本のタテ社会構造についてがある。
前回のブリュッセル・アニメーションフェスでは日本女性の社会における地位について聞かれた。
正直困る・・・・。
日本人代表として安易な答えは誤解を招くし、ステレオタイプになりかねない。
その質問をさりげなくかわす。
「お富がブリュッセルでベルギー人、イタリア人、フランス人日本人、ドイツ人で創られた事はとっても重要な事です。日本文化を理解しようとして創られた思いがお富を通して伝わればうれしく思います。」
ユーモアを交えて言うなら
「お富はチョコレートとパスタとチーズ、スシとソーセージでつくられています。
見た目は日本食ですが味の方はとっても複雑ですので味見してみてください。
お腹をこわしても知りません。」
20分間のセッションはあっという間に終わってしまいマイクを置いた。
その後サムライ監督が登場!
アヌシー7に続く
アヌシーからの風 5 「永遠に残るもの」 海底2万里オヤジはシャンパンを注ぎながらベラベラしゃべっていた。
いつの間にやら海底2万里オヤジを中心に大きな人の輪が出来ていた。
僕とサムライ監督はシャンパンを注がれながら輪の中に入った。
そのなかに日本人らしき女性の姿。
ぼくらアジア人は自然と話はじめる。
彼女はシドニー・ディズニーのアニメーターで黒いロングヘアーに黒い瞳が印象的だった。
サムライ監督と黒いひとみさんは僕の知らないアニメ業界の用語で話している・・・。
「原画とかもかくの?」とサムライ監督
「描いてますよ」と黒い瞳さん
僕はいちいち「あのー原画を描くってどういう事なんですか・・・。」とか質問していた。
「原画を描くってって事はキーになる場面の絵を描くことでその合間を他のスタッフが埋めていくんです。」という事は原画はアニメのクオリティーを左右するめちゃめちゃ重要なポジションじゃない!
ディズニーで原画を描く黒い瞳さん、ロスで自分のプロダクションを設立しているサムライ監督、すごい輪の中にいる事に気づかされる。しかし輪の真ん中にいるのは海底2万里オヤジ。
この辺のギャップが外国ならではの面白さ。
黒い瞳さんはディズニーのスタッフを順に紹介してくれた。
その中に日本語を話すお兄さんがいて、さらに不思議な空間となった。
「あしたコォイツのスッゲーきれいなフラッシュの作品やるから、ゼッタイ見てくれよぉー」
とお兄さんは仲間を紹介した。
(注釈・フラッシュとは2Dアニメーションソフトでそよ風キャラもこのソフトで作られている。)
フラッシュをきれいと表現する。
人の美意識もすごい速度で変化している。
はたしてヴェルヌはこんな時代を想像しただろうか。
そしてこの先どういった物が美として追求されるのか、もしかするとその糸口を探るのがこのアヌシーの
フェスティバルなのではないだろうか。
黒い瞳さんは隣にいる「バンビ2」の監督エリックさんを紹介してくれた。
浜風編集チョーは風キャラのフィギュア達をエリックさんに見せた。
「おぉ キュート」と手にしたのは春風さん。以外と砂嵐シマムも気にいってるみたいだ。
他のスタッフも興味を示してくれた。
フィギュアは立体的でキャラの全体像が一目でつかめるのでプレゼンにはもってこいだ。
ちょっとかさばるけど・・・。
宴は最高潮に達しふと時計を見ると午前2時近くを指していた。
明日の朝は早い。と言うのもホテルの朝食会場でコンペ3出品者のインタビューがあるからだ。
サムライ監督もインタビューをうける。
僕らは海底2万里オヤジの背中を見送りパーティー会場をあとにした。
サムライ監督に「じゃぁ また明日。お休みなさい。」と握手をした。
さっきのお月さんはずいぶん高い所にあり湖面は黒々としていた。
木立の中の自転車道をぽつぽつ歩きながらサムライ監督の言葉を思い出した。
「作品は永遠に残る。だから僕らは作品を作らなければならない。」
そっか永遠か・・・。
永遠って死んでもずーっとて事か。
さり気ない一言だったけどズッシリ僕の心に根をおろした。
アヌシー6につづく
July 01 アヌシーからの風 4 「後編 海底2万里オヤジ登場」 サムライ監督と話をしていると「調理場はどこだ?」と聞いてくる男がやってきた。
なんとなくクレイジーホースを思わせる雰囲気・・・。
注釈・ミスタークレイジーホースはスペインで出会ったすごいマユゲの持ち主。
その男はフランス語で俺の爺さんがどうのこうと言っている。
「あなた達は日本人」
「ええ まぁ 一応・・・。」
「君達はジュール・ヴェルヌをしってるかい」
「じつはね僕のおじいさんなんだよ。うぃひひひひひ」
ジュール・ヴェルヌは「海底2万里」や「15少年漂流記」を書いたフランスのSF作家。
・・・がしかし怪しい・・・怪しすぎる・・・。
ノッポさんのような緑の帽子にはだけたシャツからみえる胸毛。
そして人に話すすきを与えない一方的な話かた・・・。正直に言ってしまった。
「あんたの話ぜんぜん分らんです。何言ってんの」
「おー君達は信じてないねー ウララ」
ポケットからヨレヨレのパスポートを引っ張りだすと開けて見せた。
「ほらね ココ ココ ベ・ル・ヌ ってかいてるでしょ。ほらベ・ル・ヌ」おっさんは目を細めた。
それってただ苗字が偶然同じだったとしか思えないが、それより一体どうやってあのセキュリティーを入ってきたんだろうというのが僕らの疑問だった。
もしやして湖を泳いできたんだろうか・・・・。
そこで海底2万里オヤジと命名。
海底2万里オヤジは調理の場所を聞くと闇に姿と消した。
そして数分後よく冷えたシャンパンのボトルを片手にニヤニヤしながら帰ってきた。
ポンと栓の抜ける音がすると人が集まってきた。
海底2万里オヤジは誇らしげにシャンパンを注ぎながら言うのであった。
「俺のじいさんは・・・・・。」
アヌシー5に続く
アヌシーからの風 3 「カクテル・パーティー前編」昼間の太陽は湖の彼方に消えていった。
銀色の風が水面を渡っていく。
一足早いバカンスを楽しむ人々は好みのレストランのテラスを陣取りアペリティフのグラスを傾けながらメニューに見入っていた。
そんな人たちを横目で見ながら僕とウィリアムは浜辺のパーティー会場へと向かっていた。
すると後ろから声がした。
どうやら新聞記者の人らしいんだか「お富」のことが気に入ったらしく僕らの後を追ってきたと言う。
白髪めがねの新聞記者は早口でよく喋った。
それはまるでタイプライターのキーを高速で打ち続ける様な話し方で、時々立ち止まりながら話した。先を急ぐ僕らは迷惑ながらも話を聞かざるをえなかった。
会場は湖を見渡す浜辺にあった。
入り口にポリスと係りの人がいて招待状を見せるとニコッと笑いボンソワーといった。
大きな仮設テントがいくつもありパーティードレスで着飾った女の人がたくさんいた。
こういう服はこんな所で着るんだと初めて知った。
シャンパンを片手に立つ姿はなんとなくきれいだった。
ちょっと場違いな所に来てしまったような気もするが・・・。
ビュッフェ形式の料理を待つ間もマシンガントーク記者は休みなく喋りつづけ、僕の耳にはすでに
般若心経のように聞こえ始めていた。
全部意味のわかるウィリアムが気の毒だった。
僕はお肉をお皿にたっぷりのせると赤ワインを手にした。
ここサボア地方の赤ワインはブルゴーニュのワインは軽くなめらかで、
ボルドー馴れしている舌に繊細な味わい。
そしてコンテチーズとずっしり重いソーセージをほおばりながらワインをごくごく飲む。
ひたすら美味い。
お腹が一杯になる頃、小さな月が水面に光を落としていた。
まだ記者は話続けている。
そこに一人の日本人が現れた。
それはメールでご挨拶していた御影たゆとさんだった。
御影さんはインデペンデント・アニメの若きクリエーター。コンペティション1に出品されていた作品を
見た僕はぜひともお話したかったのである。
御影さんから東京のクリエーターの話や作品に対する向き合い方など聞けて勉強になった。
一方・・・マシンガントーク記者はまだ休みなく話し続けている・・・。
それを聞いているウィリアムは偉いと思った。
ふと気がつくともう12時近くになっていた。
御影さんはホテルへと戻って行った。
記者も話したい事を全部話したのか席を立った。
そしてウィリアムも別の知り合いとタバコを吸いに何処かに消えた。
そして僕は一人になった。
隣の大きなテントにはDJブースがありパリから来たナントカナントカと言うDJチームが回していた。
深夜を過ぎると人がさらに多くなり盛り上がりをせみ、男同士でキスしている奴とかもいた。
僕はしっくりする自分の居場所がなくてあちこちを彷徨して、もうそろそろ帰ろうかなと思いはじめた
頃「侍モンスター」の監督が僕の視野に入った!
おぉ! ちゃんすー
「あのー初めまして・・・。はまちゃんです。」
アヌシー4に続く
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